最近大手メディアでも教員不足について
大きく取り上げられるようになってきました。
教員採用試験の倍率も下がり続けており、
教員のなり手が少ないと、世間の人々に危機感を持たれるようになりました。
では、なぜ教員不足が起こっているのでしょうか。
その理由を、学校現場で働いていた筆者が職場で感じたこと、
同僚と話していてわかったことなどを踏まえてお伝えしていきます。
なるべく、メディアで取り上げられていないけれども、
忘れてはならない大事なことを取り上げます。
教員不足はなぜ起こるのか

教員不足と聞いて、皆さんはどういう理由を思い浮かべるでしょうか。
長時間労働、土日の部活動、保護者対応などの大変さがわかりやすいかもしれません。
もちろんそれは正しいです。
Xなどで教員のリアルな声を聞いて、
教員になることをやめてしまう人もいます。
それらに加えて、
教員採用試験の構造や、教員のリアルな状態を知っておいてほしいので、
大事なことを3点挙げます。
正規採用数が少ない
4月の新学期に満たしていなければならない教員の数は、
正規採用の職員だけでは足りません。
産休や育休で職場から離れる人を除いても、
最初から臨時任用の先生を頼りにして教員の数を補います。
関東圏では小学校教員でも、
数百人から1,000人程を新規採用します。
しかし、フルタイムで働く先生を補うには、
新規採用だけでは足りないのです。
臨時任用で働いてくれる人がいなければ、
人数が足りない状態で新学期を迎えます。
離脱数の増加
4月に教員の数が足りていても、途中で休職や退職をする人もいて、
年度の途中で教員数が足りなくなることもあります。
臨時採用をしようと思っていて登録していた人でも、
4月から働けないのならと、別の仕事に就いてしまう人もいます。
そのために、年度途中で教員を補うことは簡単ではありません。
では、教員不足が話題になるほど途中で教員がいなくなるのか。
主に最近の傾向で筆者が感じたことを2つお伝えします。
想定以上の途中退職
以前は一度教員になったら、定年退職まで教員をやり遂げる人がほとんどだったと思います。
今ほど残業が多くなく、身分も安定しているため、働き続けることに疑問をもたなかったかもしれません。
しかし、近年の業務量の多さ、残業時間の長さ、教員バッシングなどもあり、
教員として働き続けることを諦める人も増えてきました。
転職が一般化してきていることもあり、
教員以外の仕事の選択しも考え始める人が増えてきました。
病気休暇の人数増加
心身に不調をきたして、休職期間に入り、学校現場から離れる人も増えてきました。
先生の病気休暇の増加とその理由について、
別記事で紹介していますので、よければ合わせてご覧ください。
短くて数週間で現場復帰する先生もいらっしゃれば、
長くて半年から1年以上休職される場合もあります。
年度途中での臨時採用が難しいことに加え、
長期離脱が分かってから臨時採用を求めても、さらに後手に回ります。
結果、教員不足の状態が長くなってしまいます。
長く続かないという不安
以前は教員のモデルとして、
学年主任を経て管理職になり、定年を迎えて退職金をもらう、
ということが一般的だったかもしれません。
しかし、役職がない教員でも大変な中、
遅くまで職場に残ったり、体調不良をきたす同僚や学年主任を見て、
将来が不安になる人も増えてきました。
真面目に勤務を続ければ昇進できるかもしれませんが、
そこに至るまでの苦労やしんどさを考えると、
長年、もしくは数年勤め続けられるか不安になります。
私が勤めていた時は、長く教員を続けている方でも、
定年まで勤めようと前向きな人は少なく、
何年続けるかという区切りを考える人が多かったです。
管理職や退職金という、今まで魅力にうつっていたものが、
今の教員には魅力が薄れている、もしくは考える余裕がない、というのが筆者の肌感覚です。
教職に興味がある人はそれなりにいる

メディアでは教員不足が大きく取り上げられて、
教員のなり手が減っていると言われています。
しかし、一定数教員を目指している人はいますし、
教職に就きたい人はメディアが報道する印象よりも多いのではないかと思います。
相対比較ではあまり変わらない
小学校や特別支援学校の教員免許取得数は、
令和元年から令和2年にかけて増加している。
もちろん、少子化と言われるくらい子どもの数は減っていますし、
その分必要とされる教員の数も減っていきます。
しかし、若年人口が減っている中で、
教員免許の取得数は増えていたり、
そこまで大幅に減っていないです。
教員免許を取得しようとするくらい、
教職に関心をもっている人はいらっしゃいます。
非常勤(短時間)講師の枠は埋まっている
フルタイムで働く臨時的任用講師は常に募集している状態です。
大都市圏であるほど、子どもの人数が多くなるので、
求められている人数は多いです。
しかし、週20時間未満で働く非常勤(短時間)講師は人気が高いです。
自治体によっては定員が満たされていて、順番待ちの状態です。
フルタイムでは働けないけど、
教員として子どもに関わりたいという人が多い証拠です。
教員数を増やすために

では、教員不足を補うために、どういう施策が必要なのか。
それは、教員としての働き方を柔軟にすることだと思います。
先程は教職に興味をもっている人は少なくないことをお伝えしました。
その人達をどう取り込んでいくかが鍵となります。
社会人経験者枠を広げる
民間企業に勤めていて、教員に転職を考えている人もいらっしゃいます。
教員に転職するために、
仕事をしながら通信制の大学などで教員免許を取得する人もいます。
そう言った人達が教員になりやすい、
転職の負担になりにくい制度が必要です。
今多くの自治体で設けている
教員採用試験の社会人経験者枠を拡大することもその一つです。
また、教員免許を取得する負担を減らすために、
社会人から教員になる人の、教員免許取得までの期間を延ばすことも考えられます。
(既に実施している自治体もあります。)
非常勤勤務に柔軟性を持たせる
ご家庭の都合や兼業などのために、
週に半分の時間なら勤務できる人は多いことがわかりました。
その人達に学校で働いてもらうために、
非常勤勤務の内容を見直すことも1つの施策です。
フルタイム1人分の仕事を
非常勤職員2人で分担したり、
小学校なら一つの科目を複数学年で担当してもらい、
日中で勤務が終わるように調整するなどの方法が考えられます。
幅を持たせる働き方があると、
非常勤勤務で採用の順番を待っている人を
(言い方はよくないですが)有効活用することができます。
まとめ|教員不足だが興味をもっている人はいる

学校に勤務する必要な教員の数は、
不足状態が続いています。
しかし、教員としての職業に興味を持ってくれている人はまだいます。
そのような人達に働いてもらうために、
社会人経験者の枠を広げたり、
非常勤職員の働き方に柔軟性を持たせたりなどの施策が考えられます。
一人でも多くの人が、教員としての職業に関心をもってもらえると嬉しいです。
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