「背の順」批判について、忘れられているたった1つのメリット

学校現場

こんにちは。

最近腰に痛みを覚えるようになった、たーはんです。

年齢のせいでしょうか…いつも座っている姿勢が悪いのは自覚があるのですが、朝起きたときやトイレの便座に座るとき痛みがあるのです…泣

季節の変わり目(10月最初の朝晩の寒さを感じ始めた頃)という理由や運動不足ということもあるでしょうが、それでも今までこんなことはなかったのに…とショックを受けております。

さて今回は、ネットニュースを読んでいて気になった記事があるのでその紹介と、それについて筆者の考えを書いていきます。

学校の「背の順」批判

先日、ネットのニュースを見ていると以下の記事を発見しました。

https://president.jp/articles/-/61438(「PRESIDENT Online」(10/2最終閲覧))

日本の学校では児童生徒が整列する際に身長が小さい人が前、大きい人が後ろという身長順に並ぶ「背の順」を止めるよう、この記事の著者、松尾氏は訴えています。(ちなみに、著者は本を出版しております。)

松尾秀明『不親切教師のススメ』2022年 さくら社

松尾氏の主張を整理すると

1.背の順だと前がよく見えるという俗説があるが、実際は前の人の後頭部しか見えない

2.背の低い児童生徒がコンプレックスを感じる。背の低い児童生徒の視点に立てない人権意識の欠如がある

3.整列時は名簿順に統一することで混乱が減る。背の順は変動可能性が高い

ということになります。

並ぶ側からの立場

確かに、並ぶ立場の児童生徒からしたら、校庭などの平らな場所で1地点に目を向けようとしても前はよく見えません。体育館の壇上など、高い位置に立っている人は見えることができるでしょう。

その場合、背の順であれば前が見えやすいですし(座っている場合でも座高が関係してくる)、前に背の高い人がいると、例え壇上に立っている人でも見にくいです。

そして、背の低い人が感じるコンプレックスですが、筆者も中学2,3年の頃、背の順で前の方だったので気持ちは分かります。背の順を決める際に、同じくらいの身長の生徒から「お前の方が低いからお前が前」と言われたこともあったと思います。

ただ、コンプレックスを感じるから廃止すべきという意見は注意が必要です。

コンプレックスを与えるだけで意味のないことだったら、廃止すべきことですが、それが必要だから行われているのであれば、学校の職員会議の決議のしやすさに関わらず、一般的にも廃止要因としては優先順位が高くないでしょう。

コンプレックスを与えることが悪い、人権の欠如になるというのなら、視力が低い児童生徒が前の席に座ることも、そもそも学力テストやテストに点数をつけることも人権に関わってきてしまいます。(人的、時間的余裕がなくて、できるかどうかは分かりませんが、)

身長の違いで人を傷つけてはいけないこと、身長が小さくてもいいことを伝えていくのが教育の役割ではないでしょうか。

名簿順での統一の必要性について

松尾氏の主張の一つに、混乱を避けるため、名簿順(五十音順)での統一が挙げられています。確かに、並び方が1通りであれば楽です。

ですが、私が学校現場にいて、名簿順、背の順の2通りの並び方があって整列に混乱したことは、ほとんどなかったと思います。(それ故、教員からも疑問視する声が出ていないのだと思います。)

確かに、背の順が決まった初期は混乱することもあるでしょう。しかし、体育時間や集会で体育館に並ぶ場合など、児童生徒は頻繁に背の順で整列します。その際に自分の並ぶ位置が分からず混乱するケースはあまりなかったです。周りの児童生徒が誘導してくれる場合が多いので、「混乱」はほとんど起きなかったです。(ダラダラしていたり、喋っていたりして、整列が遅いことは頻繁にありますが…)

教員側も、いつもと異なる並び順になっていると、感覚で何かが違うと分かるので、さして問題はなかったです。(そして生徒同士を比較して見れば一瞬で解決する。)

小学校の場合は、状況によって2列、3列などに変わって、順々に詰めて並ばせる(その後座らせる)ことも多いので、とりあえず人数が揃っていればいいという場合もありますし、児童生徒もそれで文句を言う場合もほとんどないです。(むしろ普段と違って嬉しくなる場合もあるかもしれません。)

背の順の一番のメリット

では、背の順を継続する必要性は何なのか。

私は、背の順にはただ1つのメリットがあり、背の順があることを肯定的に考えています。

(なぜか記事では取り上げられていなかったのですが、)そのメリットとは、

前に立って児童生徒と対面する教員が一目で全員揃っているか確認できるということです。

同じような身長の児童生徒が前後で並んでいても、頭数を数えることはできます。

反対に、前の方に体が大きい児童生徒が並んでしまった場合、その後ろに体が小さな児童生徒がいるかどうかわかりません。教員が見えていない児童生徒が、どこかに取り残されている可能性もあります。

誰か一人でもいなかった場合、すぐに学校中を探さなくてはいけません。一目で全員揃っているか確認できることは、その後の初動に大きな差を生みます。ましてや災害等で避難しなくてはならないとき、混乱のさなか、人数の把握は何よりも優先されることです。

日頃の並び方で背の順を徹底させ、いざという時に状況把握のスピードを上げることは緊急時の対策として、とても理にかなっています。

おまけ

小学校でも当然避難訓練はしており、児童同士で所在確認(バディ制度)はしますが、パニック時に練習通りできるか限らないですし、なにより、ぼーっとしている児童もいるので、児童を信用しすぎると惨事になることもあります。(言い方は悪いですが…)

ですので、小学校の場合は、教員が最初から最後まで自分の目で確認する必要があります。

それとは反対に私が在籍していた高校はしっかりしていた生徒が多いことも影響しているからでしょうか、一度も背の順で並んだことがありませんでした。(私の記憶が正しければ。)避難訓練の時も、名簿順だったかと思います。

いろいろな考え方はありますが、日本は他国とは違って、1人の教員が40人ほどの児童生徒の所在を把握しなくてはなりません。背の順で並ぶことは、人手が少ない中で安全確保を整えるための教員側の知恵だと思っています。

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